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映画『シュヴァルの理想宮 ある郵便配達員の夢』 ニルス・タヴェルニエ監督インタビュー

郵便配達員がたった一人で33年間かけて作った奇想天外の建築物「シュヴァルの理想宮」をご存知だろうか。アート作品としては素人の作品で、正式な芸術教育を受けぬまま作られたものだが、だからこそ訴えかけてくるものがある。実際にジャンルとしてそれらは素朴派(ナイーヴ・アート)と呼ばれ、アンリ・ルソーらの様に世界的名声を受け、ピカソに影響与えた画家も数多くある。この「シュヴァルの理想宮」も「素朴派唯一の建築物」と高く評価され、ピカソからも絶賛され、フランス政府指定の重要建造物にもなっている。
このストーリーの映画が12月13日(金)に公開される。それに先駆けて、今年6月に横浜で開催された「フランス映画祭」でも、上映されその際にニルス・タヴェルニエが来日し、ACT4でも話を伺うことが出来た。
「シュヴァルの理想宮」は素晴らしいフランスの宝だが、 それを貧しい田舎の郵便配達員がたった一人で33年かけて作ったという話を聞いた時に、監督は、この人の考えていたこと、感じていたことを知りたくなり、もしそれが映画となったら、一度見てみたいと思ったのがきっかけとなり、自らメガホンをとることになった。筆者は、この映画を実際見てみて、空気感や雰囲気が19世紀末にタイムスリップしたかのようなリアリティを感じた。監督にそれを伝えると、「作り話ではなく実話を元に作っているので、リアリティを追求することは作品の本質上、とても大切なことと感じています。電気の普及もちょうどこの頃だったので、使う照明もその時代に合わせました。建築中の理想宮に関しても、セットの模型ではなくほぼ全て現存する本物を使用しました」とその拘りを語ってくれた。
また、「シュヴァルの深い子供への愛情と、それを失ったことの精神的苦しみを、アートを作り続けることで自らを癒していこうと行動したことは注目に値すると思います」
と語ってくれた。これは、アートセラピーなどに代表されるように、現代人が抱える様々な問題の解決にもきっと役立つのではないだろうか。また、今後アート作品を見る上でも新しい評価基準をもたらしてくれる映画としても面白い。この機会に是非劇場に足を運んで欲しい。

映画『シュヴァルの理想宮 ある郵便配達員の夢』
角川シネマ有楽町、恵比寿ガーデンシネマ・他・12月13日(金)〜公開
監督: ニルス・タヴェルニエ(『エトワール』、『グレートデイズ!―夢に挑んだ父と子―』)
出演:ジャック・ガンブラン、レティシア・カスタ、ベルナール・ル・コク、フロランス・トマサン
原題:L‘Incroyablehistoiredu FacteurCheval 公式サイト:https://cheval-movie.com/

2018年/フランス/フランス語/カラー/ビスタ/5.1ch/105分字幕翻訳:星加久実 配給:KADOKAWA